Tuesday, August 23, 2016

現代日本人文芸:二宮正治小説:SMAP解散は国民の目にどう写ったか:第2回

「いったいだれが、どこの女性が木村拓哉をサポートしているんだろうね」

 ジャイアンツ女子が吐き捨てるように言う。

「ほんまや、よっぽどジャニーズ事務所の社長に気に入られて長年チヤホヤされたんちゃうか」

 タイガース女子が相槌を打つ。

「他のメンバーは自分のファンを確実にもっとるけえ、面白うないわいねえ」

 広島出身のカープ女子が話を続ける。

「これ以上SMAPとしても活動は無理よ」

「ほんまや」

「一人ひとりで活動したほうがええ」

 それぞれが自分の思いを呟く。

「それにしてもキムタクは今後どうやって生きていくんだろう」

 ジャイアンツ女子が心配そうに呟く。

「子どもやないんやから、自分で決めなあかん」

「ほんまよう。でも俳優やるにしても難しいじゃろうねえ」

 タイガース女子、カープ女子が言葉を続ける。

Sunday, August 21, 2016

現代日本人文芸:二宮正治小説:SMAP解散は国民の目にどう写ったか第1回:

カープ女子のみならず、巨人女子や阪神女子及びセ・リーグ各球団の女子をかき集めたセイジは

結成当時からいるプロ野球女子に語りかけていた。

「SMAPがとうとう解散したね」

 このセイジの言葉に、

「子供の頃から活躍していた人達だから、一つの時代が終わったって感じがする」

 23歳のカープ女子がこう反応すると、26歳の巨人女子が、

「セイジさんが数年前から木村拓哉の人気が若い女性に通用しなくなっていると警告し続けたのに

聞かなかったよね。あの時にもっとしっかりと手を打っていればこんな事にはならなかった」

 ポツリと呟く。

「かつては若い女性に抱かれたい男NO1と言われた人なのに」

「日本人男性のパンツ(下着)を変えた人よ」

「今はもう他のメンバーの足をひきずる存在でしか無い」

 カープ女子を始めとしてプロ野球女子の声は手厳しい。

セイジはみんなに言い聞かすというより、自分に言い聞かすように、

「キムタクは次に出演する作品でコケたら将来がない」

 こう呟いた。

Monday, August 1, 2016

現代日本人文芸:二宮正治小説:東京都知事選:第14回:(この物語はフィクションです)

 小池百合子は増田寛也に百万票以上の差をつけて勝った。

「長年の心のもやもやがなくなり心が晴れた。本当にうれしい」

 小池百合子の体の底から沸き上がってくる喜びは、

自民公明推薦の候補を破った事もあるが、

それよりもっと大きい喜びは、

「数多くの女性票を得る事が出来た」

 この事である。

「この日本国には見えざる姥捨て山」

 これが存在する。

「私は最近この見えざる姥捨て山の住民になっていた」

 この思いが脳裏によぎる時、

小池百合子の目からは涙がこぼれ落ちた。

他人には決して見せない涙を。

「がんばるぞ」

 小池百合子は当選の次の日、決意を新たにするのだった。