Sunday, July 31, 2016

現代日本人文芸:二宮正治小説:実録東京都知事選:第13回:(この物語はフィクションです)

 小池百合子は都知事選に確かな手応えを感じていた。

東京都民だけでなく、東京を愛する世界各国の人々が、

「小池百合子さん、がんばって。東京をもっともっと光り輝かせて」

 こう言ってくれるのだ。

「世界の大都市との都市外交もお願いします」

 こうも。

「この難しい時代を東京を操縦できるのは、国会議員を長年勤め内外の事情に詳しい私しかいな

い」

 実際世界の要人が、

「あなたが都知事になたら東京を訪問しますので」

 こう言ってくれている。

「今日夜中には祝杯をあげたい」

 小池百合子の心と体には自信がみなぎっていた。

Saturday, July 30, 2016

現代日本人文芸:二宮正治小説:実録東京都知事選:P12:(この物語はフィクションです)

 ある学者が小池百合子が東京都知事に就く事による経済効果について語ってくれた。

「この日本の国は世代の断絶が存在する。ちょうど小池百合子氏が生まれた昭和二十七年と一歳

年下の昭和二十八年生まれの人達の間には見えざる川が存在する。仮に日本人全部を揺すって

混ぜてもしばらくすれば、必ず昭和二十七年以前に生まれた人々と昭和二十八年以降に生まれた

人々に別れる。だからこの日本国では個人消費が伸びないのである。小池百合子氏以上の年齢

の人々の個人消費量は何と日本人全体の半分に相当するのだ。

 小池百合子氏が都知事になったら、同じ年代のやそれ以上の年代の女性が刺激を受けて必ず

個人消費がうなぎのぼりに跳ね上がる。日本経済を刺激する事ができるのだ。

『小池百合子氏が頑張っているなら私も頑張ろう』

 こんな風にね。

 実際、今小池百合子氏は光り輝いている。それに小池百合子氏は世界の要人と五分で話ができ

る強みがある。小池百合子氏が東京知事に就くことによる経済効果は計り知れないものがある」

 泣いても笑っても選挙運動は今日30日限りとなった。

「私は必ず東京都知事になる」

 小池百合子は心に誓った。

Friday, July 29, 2016

二宮正治小説:実録東京都知事選:P11(この物語はフィクションです)

「泣いても笑っても選挙戦は今日と明日のみ、がんばるぞ」
 
 小池百合子は29日の朝決意を新たにした。

小池の元には、

「小池百合子さんって本当は魅力的な女性だったんですね。ファンになりましたよ。今まで小池百

合子さんのイメージは、一匹狼で党内をかき乱すようなイメージしかなかった。でも今回の選挙戦

で素晴らしい女性であることがよく分かりました。あなたこそ次の東京都知事にふさわしい方です

よ。がんばってください」

 この声が続々届いている。

昔から小池百合子を応援してくれている人々が、

「全国いや全世界の女性が応援してくれているよね。こころ強い」

 こう言ってくれる。

「都知事になってからが大変だよ。気を緩めないでね」

「もちろん」

 小池百合子は微笑み返しで応じた。 

Thursday, July 28, 2016

二宮正治小説:実録都知事選:P10:(この物語はフィクションです)

「小池百合子は大年増で厚化粧の女だ」

 石原慎太郎氏が自民党総決起集会でこう発言した。

小池は腹が立つどころが呆れ返っている。

「断末魔の叫びだ。自民党候補も終わりだ」

 小池は心の底でこう呟く。

今日本中のみならず世界の人々が、

「小池百合子は光り輝いている」

 こう言ってくれているのだ。

「光り輝く小池百合子が光り輝く東京の知事になり東京を世界の太陽にするのだ」

 世界の人々はこうも言う。

「東京が今以上の力を持てば、色々な諸問題は解決に向かう」

 小池はこう確信していた。

「都市外交はこの小池百合子に任せて欲しい」

 自分自身に言い聞かせるように呟いて、小池百合子は今日の選挙運動へ取りかかった。

Wednesday, July 27, 2016

二宮正治小説:実録東京都知事選:P9(この物語はフィクションです)

「あと4日だ」

 小池百合子は27日朝早く起きて残り4日のスケジュールを組み立てている。

「当選したら、世界のリーダーを東京に呼ぼう。東京の良さ、日本の良さを知ってもらうのだ。私が

世界の主要都市に出かけてもいい。世界の人々にまず東京を見てもらい、そして地方を旅してもら

う。地方経済の回復にもお役に立ちたい」

 百合子の夢は大きい。

「主要三候補の中で経済は私が一番知っている」

 小池百合子は経済に関して自信を持っていた。

「だてに長年国会議員をやってきたのではない」

 夜明けのコーヒーを飲みながら自分に言い聞かすように、

「あとは四十歳以下の人々の気持ちをしっかりとつかもう。それが大事だ」

 こう呟いた。

「私は勝つ。勝って新しい東京をつくるのだ」

 この事を心に誓った。

Tuesday, July 26, 2016

二宮正治小説:実録東京都知事選:P8:(この物語はフィクションです)

「小池百合子さん、きれいになったねえ」
 
 選挙運動をしていると、人々が近寄ってきてこう言ってくれる。

小池百合子は最近鏡を見て、

「最近疲労が目立つ」

 こう思っていたのだ。

だが行く先々で、

「江戸っ子が応援しているぞ」

 この声を聞くと、体の底から力が湧いてくるのだった。

自民党員も処罰を覚悟の上小池百合子を応援してくれる。

「さあ、今日26日を含めてあと5日必死でがんばろう」

 朝早く朝食を取りながら自分にこう言い聞かせた。

「小池百合子じゃないと出来ない事を私はやってみせる」

 こう呟いて決意を新たにしたのである。

Monday, July 25, 2016

二宮正治小説:実録東京都知事選:P7(この物語はフィクションです)

 小池百合子はこの選挙に確かな手応えを感じていた。

メディアも、

「小池氏リード」

 こう伝えている。

小池は月曜日からの選挙運動の準備をしながら、自分が今回の都知事選に出る意義を自分自身

に言い聞かせた。

「私が出馬することにより、都知事になる事により、同年代の女性に勇気を与える事ができる。私

達の世代はちょうど古い世代と新しい世代の境界線にいて、何かと孤独な女性が多い。そんな女

性の希望の星に私はなろうと思う。個人消費の拡大も望める。私が都知事になる経済効果は起き

いのだ」

 そして、紅茶をゆっくり飲んで、

「誰にも真似のできない、都知事外交を展開してやる」

 こうも呟いた。

「飛躍しようとする女性たちの希望の星になるのだ」

 最後にこう呟いて小池は瞼を閉じた。

Sunday, July 24, 2016

二宮正治小説:実録東京都知事選:P6:(この物語はフィクションです)

 小池百合子は今回の都知事選に確かな手応えを感じていた。

「かなりの自民党支持者が私を応援してくれている」

 この事がはっきり分かったのだ。

「東京の灯を消してはいけない。この東京の灯を守れるのは私しかいない」

 小池は自分にこう言い聞かせた。

日曜日の朝読売新聞に、

「小池氏増田氏競う」

 こう書いてあった。

「増田氏には女性票が取り込めない。必ず私が勝つ」

 小池は勝利を確信していた。

「東京を世界の中心にする」

 こう自分に言い聞かせて、スタッフに、

「今日もがんばろう」

 こう激を飛ばした。

Saturday, July 23, 2016

二宮正治小説:実録東京都知事選:P5:(この物語はフィクションです)

 小池百合子にうれしい知らせが入ってきた。

「世界の人達、それも女性が小池百合子を支持している」

 この知らせだ。

「うれしい、都知事になったら思う存分仕事ができる」

 小池は体の底から力が湧き上がってくるのを感じた。

世界の男性も、

「ユリコ・コイケは若々しくキュートだ」

 こう言ってくれる。

「東京いや日本のすべての世代の人達の支持を得られるようにがんばる」

 土曜日の朝、小池は決意を新たにした。

昔からの小池の支持者は、

「オリンピックのドンとの関係は修復できるか」

 こう心配する。

「やるっきゃない」

 小池はこの言葉を返して闘志を露わにした。

「さあ、この週末が勝負だ。みんながんばろう」

 小池はスタッフに声をかけ、事務所を後にした。

Friday, July 22, 2016

二宮正治小説:実録東京都知事選:P4:(この物語はフィクションです)

 小池百合子は今回の都知事選に確かな手応えを感じていた。

「応援の輪が広がっている、うれしい」

 小池は自分が都知事になる事について大いなる自信をもっている。

「この候補者の中で本当に東京の未来をつくり上げる事ができるのは私だけだ。だてに代議士を続

けてきたのではない。必ず東京都民は私の心を分かってくれるはず」

 一息ついて、

「東京都の職員のやる気を引き起こし、光り輝く東京を造る事が私の使命だ」

 小池は、

「絶対に負けない」

 自分にこう言い聞かせた。

一日の仕事をすべて終え、遅い夜のご飯を取り、

後はベッドで横になるだけとなった小池は一人の女声に戻っていた。

「慣れているなずなのに、一人寝はやはり寂しい。私を愛してくれる人が欲しい」

 小池はフーっとため息をついてベッドに横になるのだった。

Tuesday, July 19, 2016

二宮正治小説:実録東京都知事選:P3 (この物語はフィクションです)

 小池百合子は確かな手応えを感じていた。

「自民党の推薦を得られなかったのは痛い。でもかなり多くの自民党支持者が私を応援してくれている」

 小池百合子と同じ年の支持者は、

「おれは自民党を除名になってもいい。小池先生を応援したいんだ。小池先生は長い間冷や飯街道を歩いたもんなあ。見るのが辛かったよ」

 こう言ってくれた。

「ありがとう」

 微笑んで小池百合子は言葉を返したが、

涙をこらえるのに必死だった。

「東京を東京らしく栄えさせる事ができるのは小池百合子」

 みんなこう言ってくれるのだ。

「有難う皆さん、がんばりますので応援よろしく」

 小池のこの言葉に聴衆は、

「がんばれよ、応援してるからなあ」

 拍手と共にこの言葉を送ってくれた。

「投票率が上がれば私が勝つ」

 小池百合子のほほ笑みの底はこの思いでいっぱいだった。

Friday, July 15, 2016

二宮正治小説:実録東京都知事選:P2 (この物語はフィクションです)

 小池百合子は夜遅い夕食を食べながらテレビの報道を見ていた。

「小池、増田、鳥越この三候補の三つ巴の戦い」

 この局もこう言っている。

小池はメラメラと怒りがこみ上げてきた。

野党統一候補の鳥越俊太郎に対してである。

「何でこんな健康に不安がある人が出てくるんだ。四年間もつのか。体調悪化で辞任なんて事にな

ったら世界の笑い者になる。それにこの人都政を知っているのか。何の政策もないのでは」

 怒りは収まらない。

「まあ東京都民は私の事を必ず評価してくれると思う。21人の候補の中で、世界に目を向けている

のは私だけだ。東京は世界の東京なのだ。世界の人々があこがれている街だ。それを認識できて

いない候補が都知事になると東京都民は不幸になる」

 自分の心にこう言い聞かせて荒ぶる自分の心をなだめた。

夜遅くベッドに入ると心が高ぶって寝付かれなかった。寝返りを幾度と無くうった。

「ああ、私を慰めてくれる人が欲しい。私は今恋を忘れた女性になっている」

 他人には絶対に見せない小池百合子の真実だった。

Wednesday, July 13, 2016

二宮正治小説:実録東京都知事選P1:新連載(この物語はフィクションです)

 小池百合子はこの都知事選に大勝負をかけていた。

「これ以上の冷や飯はまっぴらごめんだ。このまま自民党で国会議員をしていても埋もれてしまう」

 この思いが強かったのである。

「世間を唖然とさせてやる」

 こうも思った。

「小池百合子を忘れるな」

 鏡に向かってこう叫けぶ。

なぜか涙がこぼれた。

「百合子なぜ泣くんだ。貴方は強い女なのだ」

 自分に必死でこう言い聞かせたが、涙は止まらない。

今から自分が歩こうとしている道が平坦ではない事を、

心の底の底で分かっているから涙がこぼれ出たのかも。

それと常日ごろの、

「仲間の代議士の冷たい視線と態度」

 これが追い打ちをかけたのかもしれない。

「絶対に負けない」

 もう一度鏡に向かって百合子は自分に言い聞かせた。

いつしか涙はとまり、戦う女の顔に戻っていた。