Monday, August 1, 2016

現代日本人文芸:二宮正治小説:東京都知事選:第14回:(この物語はフィクションです)

 小池百合子は増田寛也に百万票以上の差をつけて勝った。

「長年の心のもやもやがなくなり心が晴れた。本当にうれしい」

 小池百合子の体の底から沸き上がってくる喜びは、

自民公明推薦の候補を破った事もあるが、

それよりもっと大きい喜びは、

「数多くの女性票を得る事が出来た」

 この事である。

「この日本国には見えざる姥捨て山」

 これが存在する。

「私は最近この見えざる姥捨て山の住民になっていた」

 この思いが脳裏によぎる時、

小池百合子の目からは涙がこぼれ落ちた。

他人には決して見せない涙を。

「がんばるぞ」

 小池百合子は当選の次の日、決意を新たにするのだった。

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