Wednesday, February 12, 2014

二宮正治小説:小泉氏の夜第一回

「ああ負けてしまった」
 小泉氏は都内のホテルのラウンジでブランデーを飲みながらこう呟いた。
絶対の自信を持って望んだ都知事選だっただけに、小泉氏のショックは計り知れないものがあった。
「全力を尽くしたんだがなあ、なぜ」
 小泉氏は何度もこの言葉を繰り返した。
だが、答えは出ない。
どっかから、
「小泉も終わりだ」
 この声が聞こえて来る。
声の主を見ると大新聞の記者だった。小泉氏は大反撃をしてやろうと思ったが次の日にマスコミに、
「小泉氏選挙に負けた腹いせに新聞記者に八つ当たり。こんな事を書かれても困る」
 こう思って必死でこらえたのだった。
そして、
「終わってたまるか、ぼくの人生は今から始まるんだ」
 必死でこう言い聞かせた。
「見ていろ、おれはやる」
 小泉氏はブランデーをぐっと飲み込んでこう呟いた。


*この物語はフィクションです。登場人物は存在しません。似ている人がいたらそれは単なる偶然です。
重ねて申しますがこれはフィクションです。
 

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