Thursday, February 13, 2014

二宮正治小説:小泉氏の夜第2回

 小泉氏は自宅に帰りベッドに入っても寝つかれなかった。
「今まではあの状態で大勝したんだ、なぜ」
 目をつむってもこの思いが頭から離れない。
そんな時、
「純ちゃん、お疲れでした」
 と声をかけてくれる女性がいた。
小学校の同級生である。
「負けちゃったよ」
 小泉氏は声を震わせてこう言った。
「次の事を考えて」
「ああ」
「あなたのエネルギーを必要としている人はこの日本には多いのよ」
「分かっている」
「純ちゃん、彼女はいるの」
「いいや」
「彼女をつくりなさいよ」
「うん、一人寝は寂しいからなあ」
 初めて小泉氏から笑みがこぼれた。
「一人寝ばかり続けたから負けたのかなあ」
「そうかもね」
 小泉氏と同級生の女性は大笑いするのだった。



*この物語はフィクションです。登場人物も存在しません。もし似ている人がいてもこの小説とは何の関係もありません。 

No comments:

Post a Comment