Saturday, February 15, 2014

二宮正治小説:小泉氏の夜第4回

 金曜日の夜小泉氏は先輩議員の超大物と話をしていた。
「先輩、見事に負けちゃったよ」
 先輩議員甲は苦笑しながら、
「もう忘れろよ、今からの事を考えろ」
 こう言った。
今度は小泉氏が苦笑しながら、
「そう言われてもねえ。こんなの初めてだから」
 甲は、
「小泉君、慰めてくれる女性はいないのかね」
 と小泉氏に尋ねた。
「いませんねえ」
「彼女を作れよ」
「先輩はいるんですか」
「ああ、二十八歳の彼女が」
「え・・・・・・・・」
 小泉氏は我が耳を疑った。
「二十八歳」
「そうだ」
 二人は水割りを飲みほした。
「小泉君、君とその同志の敗北はなあ、若い人たちの心をつかめなかったんだ。おれの言う意味が分かるか」
 小泉氏は言葉が返せない。
「どうやってつくるんですか」
「それは君が考えるのだ。それだけの知識と経験はあるはず」
 小泉氏はため息をついた。 

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