小泉氏は先輩議員の、
「おれには二十八歳のガールフレンドがいる」
この言葉に少なからずショックを受けていた。
「君は若い人の心が分からないのだ」
この言葉にも。
小泉氏は気がついたら東京の下町を歩いていた。
「オレは東京の隅から墨まで知っているつもりだったが、ただ単に独りよがりだったのか」
こう思うとむなしかった。
「七十を過ぎての社会勉強をするか」
小泉氏は全然知らない下町のスナックに一人で飛び込んだ。
「はじめてきたんですけどいいですか」
「いいですよ」
店のママらしき女性が小泉氏を暖かく迎えてくれるのだった。
「何飲みますか」
「水割りを」
「分かりました」
小泉氏の七十歳を過ぎての社会勉強が始まる。
*この物語はフィクションです。登場人物は存在しません。
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