Friday, February 14, 2014

二宮正治小説:小泉氏の夜第3回

小泉氏を小学校の同級生が励ましてくれた。
横須賀市の小泉氏の自宅近くの居酒屋である。
「ご苦労さんでした、純ちゃん」
「おれ負けちゃったよ」
「負けたのは残念だったけど、純ちゃんは七十歳以上の人間の気持ちを代弁してくれたんだ。今回純ちゃんの七十を過ぎた人間の魂の叫びは日本人にいや世界に伝わったと思うよ」
「でも負けたんじゃなあ」
「純ちゃん、今回の戦いは有意義だったよ」
 小泉氏とその同級生はお互いの目を見つめ合った。
「ありがとう」
 小泉氏の目には光るものがあった。
その夜小泉氏は深い眠りについた。
「私が愛してあげる」
「ありがとう」
 夢の中で若い女性が小泉氏に迫っている。
首筋から乳首にかけて若い女はやさしく口づけをするのだった。
「あー、あー、あー」
 小泉氏の口から激しいあえぎ声が漏れた。
小泉氏は少年のような夢を見ているのだ。


*この物語はフィクションです。登場人物は存在しません。似ている名前の人がいてもそれは単なる偶然です。

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