女性国会議員Aは夫に先立たれて三年が過ぎようとしている。
Aはもう六十歳を越えた。最近今までに味わった事のない孤独感にさいなまれていた。
Aは国会議員になって二十数年になる。大臣も経験した。
仲間の議員に、
「あと私が狙うのは総理だけ」
冗談めかしていつもこう言うのだが、
腹の底では本気で総理の座を狙っていた。
Aは若手の議員から、
「うるさいおばさん」
こんな目で見られている。
国会にいる時は気が張り詰めているので、寂しさを味わう事はなかったが、
一度仕事が終わり議員宿舎に返って一段落すると、
Aに孤独感という魔物が襲って来るのだった。
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