Friday, March 18, 2016

二宮正治小説:女性国会議員が恋をして何が悪い:第1回:新連載

 女性国会議員Aは夫に先立たれて三年が過ぎようとしている。

Aはもう六十歳を越えた。最近今までに味わった事のない孤独感にさいなまれていた。

Aは国会議員になって二十数年になる。大臣も経験した。

仲間の議員に、

「あと私が狙うのは総理だけ」

 冗談めかしていつもこう言うのだが、

腹の底では本気で総理の座を狙っていた。

Aは若手の議員から、

「うるさいおばさん」

 こんな目で見られている。

国会にいる時は気が張り詰めているので、寂しさを味わう事はなかったが、

一度仕事が終わり議員宿舎に返って一段落すると、

Aに孤独感という魔物が襲って来るのだった。

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