Saturday, March 19, 2016

二宮正治小説:女性国会議員が恋をして何が悪い:第2回:新連載

 女性国会議員Aは同じ年代で同期の議員たちと金曜の夜語り合っていた。

「私は六十歳を過ぎても恋をしたいよの」

 このAの言葉に、

「そりゃあそうだろう。六十なんて青春まっただ中だ」

 厚生労働省出身で高齢者問題が専門の男性議員がAにこう言葉を返した。

「私この歳でまだ恋に恋するの」

 Aが恥ずかしそうにこう言うと、同期の女性議員が、

「だれでもそうよ」

 こう相槌を打った。

「それを聞いて安心した。私は夫をなくして『長々し夜を一人かもねん』毎日この世界だから」

「それは可哀想。恋人はいないの」

「いない」

「つくればいいじゃない」

「つくれない」

 しばしの沈黙の後、

「求めよ、さらば与えられん」

 財務官僚出身の男性議員がAにこう言うと、

みんなどっと笑った。

No comments:

Post a Comment