Tuesday, March 29, 2016

二宮正治小説:女性国会議員が恋をして何が悪い:第6回

女性国会議員Aは自分の選挙区の居酒屋で若者と大いに盛り上がり、

一夜の恋を楽しもうと思ったが、それはできなかった。

やはりスキャンダルが恐ろしい。

近くの公園で酔を冷ましていると、

「ああ先生じゃないですか」

 と声をかけてくる男性がいた。

Aの健康診断をしてくれている医師Nである。

「今日は若者と飲み過ぎちゃってねえ、酔を冷ましているの」

 このAの言葉に、Nは、

「うやらましい、ぼくはお酒がのめないから」

 ポツリとこう言った。

そして、

「女房を亡くして夜が長くて」

 寂しそうに呟いた。

「可哀想」

「ええ」

 Aは恋が芽生える予感がしていた。


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